ITB療法を受けている患者さんとご家族へ
ITB療法ってどんな治療?
監修:横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科 根本明宜 先生
ITB療法ってどんな治療?
- ポンプやお薬であらわれる
副作用には何がある? - 日常生活で注意することは?
- 治療中に受けられる公的サービスは?
ITB療法(バクロフェン髄腔内投与療法)とは?
ITB療法は「ポンプ」をお腹に入れ、「カテーテル」を介してバクロフェンというお薬を常に脊髄の近くのスペースに入れることで、痙縮(けいしゅく)をやわらげる治療法です。
ITB療法は、バクロフェンというお薬を作用部位である脊髄(せきずい)の周囲へ直接投与することにより、痙縮の症状をやわらげる治療です。バクロフェンは昔から飲み薬として使われていましたが、脊髄へ効率よく届け、濃度を一定に保ち、患者さんの状態に合わせて細かく調整するために、脊髄へ直接投与する治療法として「バクロフェン髄腔内投与療法(ITB療法)」が開発されました。
ITB療法は、事前にスクリーニングテストにより効果があるかどうかを確認してから、治療を受けられるかどうかを判断します。ITB療法は、患者さんの状態に応じてお薬の量を調整することにより、痙縮をコントロールすることができます。痙縮の症状をやわらげることで、日常生活の活動の幅を広げたり、生活を豊かにすることを目的としています。
治療の流れは?
治療をはじめる前に「スクリーニングテスト」を行い、効果が認められれば、ポンプ植え込み手術を行います。その後、定期的にお薬の補充を行います。
ITB療法による治療を始める前に、お薬が患者さんに反応するかどうかを確認するためにスクリーニングテストが行われます。スクリーニングテストでは腰からお薬を注入して、筋肉がやわらかくなったり、痙縮が改善されれば治療の効果が期待できると考えられます。
ITB療法による治療の継続を希望される場合は、ポンプをお腹に植え込む手術を行います。植え込んだポンプには、3ヵ月以内に一度のお薬の交換と補充、量の調整を行います。ポンプは約5~7年で電池が切れるため、電池が切れる前に新しいポンプと交換する手術を行います。
ITB療法の流れ
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スクリーニング
テストスクリーニングテスト(効果の確認)
- 事前にお薬の効果があるかどうかを確認します。
- スクリーニングを実施した後に、必ず植え込み手術を実施しなければならないものではありません。
- 患者さんの希望で治療をやめることもできます。
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植え込み手術
ポンプ、カテーテルの植え込み手術
- お薬の効果が確認できたら、ポンプ、カテーテルの植え込み手術を行います。
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定期通院
お薬の調整や補充
- 生活リズムや症状にあわせて、時間や曜日単位でお薬の量を調整することができます。
また、ポンプに入れたお薬の補充は、前回の充填から3ヵ月以内に行います。 - 約5~7年でポンプの電池が消耗するため、新しいポンプに交換する手術が必要になります。
- 生活リズムや症状にあわせて、時間や曜日単位でお薬の量を調整することができます。
ITB療法は中断・中止することができます。
どんな機器が植え込まれているの?
体に植え込まれている機器は、お薬を注入する「ポンプ」と、お薬を脊髄に届ける「カテーテル」の2種類です。
ITB療法では、お薬を持続的に投与するためのポンプと、脊髄に運ぶためのカテーテルが体内に植え込まれます。ポンプにはコンピュータと電池が内蔵されており、専用のプログラムを使ってお薬の量の調整を行ったり、電池の寿命やトラブルの状態を調べることができます※。
※専用のプログラム操作を行えるのは本治療に精通した医師のみです。
ポンプ

カテーテル

ITB療法を受けると原因疾患は治るの?
ITB療法で痙縮の症状をやわらげることはできますが、原因となる病気を治すことはできません。
ITB療法の目的は、今ある痙縮の症状をやわらげ、日常生活の幅を広げたり、生活の質を高めることです。ITB療法は痙縮の原因となっている疾患を治すことはできません。また治療を止めると、治療前の痙縮の状態に戻ります。

治療をはじめる前に
知っていただきたいこと

バクロフェン髄注療法(ITB療法)を
受けられる方へ