- 1)日本神経学会・厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」. 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン. 東京, 南江堂, p112-113, 2018
神経変性疾患(しんけいへんせいしっかん)による
「痙縮の症状」とは?
監修:横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科 根本明宜 先生
痙縮(けいしゅく)の症状とは?
痙性対麻痺(けいせいついまひ)では、「つま先がひっかかり、歩きにくい」、「両足がつっぱり内股になり、転びやすくなる」などの痙縮の症状があらわれることがあります。
痙縮とは「筋肉を縮める命令」と「緩める命令」のバランスが崩れて、自分の意思とは無関係に「筋肉が縮んでしまう状態」とされています。神経変性疾患のうち、脊髄小脳変性症の中の痙性対麻痺(けいせいついまひ)では、左右の脚が麻痺する「対麻痺(ついまひ)」があらわれます。
痙性対麻痺による痙縮の症状は、「つま先がひっかかり、歩きにくい」、「両足がつっぱり内股になり、転びやすくなる」などの症状があらわれます。定期的に受診して、適切な医療を受けることが大切です。
痙性対麻痺では、
両足に痙縮の症状が
あらわれる。
脚の痙縮の症状
つま先が引っかかり歩きにくいと感じたり、両足がつっぱり転びやすくなるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。

患者さんが困ること
- つま先がひっかかり、歩きにくいと感じる
- 疲れてくると脚が重たく感じるようになった
- 両足が内側に入り、からまって歩きにくくなった
- 転びやすくなった
- 歩いていてもバランスが悪いと感じるようになった
- 長い距離を歩けなくなった
悪化するとどうなるの?
筋肉や関節が固まる「廃用性筋委縮(はいようせいきんいしゅく)」や「拘縮(こうしゅく)」などが起こり、歩けなくなります。
痙性対麻痺は進行する疾患のため、痙縮を治療しないとゆっくりと症状が悪化していきます。一般的には、数年から数十年の経過で緩やかに悪化し、歩けなくなるとされています1)。歩けなくなる期間は患者さんによってさまざまなため、歩ける期間を少しでも延ばすことを目的に痙縮の治療を行うことが重要です。つま先が引っかかり、歩きにくいと感じたり、両足がつっぱり、転びやすくなるなどの症状を感じたら、専門の医療機関を受診しましょう。